*「神秘珍珍ニコニコ園」緊急リポート* (メールマガジンでお届けに上がる商品のほんの一例です。) |
『神秘珍珍ニコニコ園』というテーマパーク(?)に彼と行って来た。持ち主は博物館と言っているらしいが、モチロン博物館とは言えない。「テーマパーク」と言うのもだいぶ無理がある。秘宝館とも違う。恐らく、現時点での日本語であの「場所」を言い表すことばは無いのではないのだろうか・・・しいて言えばキ・・・いや、やめておこう・・・。 ----- 東武東上線の高坂という駅を降りると、すぐ駅前に廃墟に近い奇妙な建物があってそこに『老若男女いこいの場 神秘珍珍ニコニコ園 →徒歩18分』とでっかく(手書きで)書いてある。なんか、この時点でもう「ニコニコ」とはかけ離れている気がする。 まぁ、矢印にしたがって無謀にもワタシ達は歩き出す。実は、事前に『神秘珍珍ニコニコ園』に行ったコトがある人に「場所も判りずらいし遠いしまず徒歩でたどり着くのは無理、タクシーを使うべし」というメールをもらっていたのだが。 しかしワタシ達は気にせず歩き出す。 矢印に従って歩いて行くとなんと道は二手に分かれていたのだが、どちらともなく、なんとなく左へ。 駅前のでっかい手書きのカンバン以来、何の手がかりもなくひたすら歩く。その途中、ワタシが駅前のと同じく怪しい古い小さなカンバンを見つける。そのカンバンには『神秘珍珍ニコニコ園』という記述はなかったのだが、「老若男女いこいのニコニコ場」とかなんとかというキャッチフレーズと鬼が高笑いしている下手くそな絵が書いてあった為、それを『神秘珍珍ニコニコ園』からの使者と考えまたも「直進→」という案内にしたがって歩き始める。 それから程なくして右に折れる道が出て来た。何気にその道を見た、その瞬間!ワタシの魂のレベルゲージがにわかに上昇した。丁度"欽ちゃんの仮装大賞"のステージにある、得点を表示するランプがだんだん点いて昇って行く様に。 (なんとなく、こっちの様な気がする)と思ったが、先ほどの矢印は「直進」だったし、自分のキモチは気にせず直進しはじめた。すると"タマシイの点数ランプ"はだんだん1つづつ消えて行く様な気がした。 しばらく歩くと大きな道に出て、川が見えた。 そこまで来るともうランプ"は全て消え去り、明らかに違う道に出てしまったというコトが判って来た。 しかたないのでしばらく後戻りし、もよりの雑貨屋で彼が「『ニコニコ園』ってどこでしょうか?」と聞いた。ワタシは、「ちっ、ちゃんと『神秘珍珍ニコニコ園』って聞かなきゃ意味ないぢゃん」とか思いつつ、道を教えてくれたおぢさんにお礼を言った。 道案内を聞くと、なんと先ほどワタシが(こっちがアヤシイ・・・)と思った道を行けば良いとのこと。でもその時はまだ「ほら、やっぱりこっちだ〜」などとワタシもよゆ〜をかましていたのだが。 例の道を曲がると延々と田んぼの中を走る道が続いている。2人、途方にくれながら「帰りはタクシーにしようよ」などと言いつつ歩いて行った。 いいかげん歩いた頃、ワタシのタマシイのレベルゲージがまた「ぷっぷっぷぷぷぷぷ・・・」と上がり始め、なぜだか手がはばったくなって来たと同時に何かが見えた!と言ってもフツーの人にはまず見えないだろう。なにしろ、ワタシはケニアサファリで現地の黒人のガイドさんよりもより遠くの動物をより早く発見するコトが出来たとゆー(ちょっと本人は自慢気だが実はちっとも自慢になんない気もするが)脅威の視力なのだ。 とはいえ、今思うとその時点では実際に「アレ」は読める位見えたワケでは無いから「お前、あの時本当は電波で見てただろう?」という彼の説が正しいと言えば正しいのだが。 ともかく、ワタシは遠く(1Km近く先)の「あの辺」にナニかある!という確信の元、にわかに早足に。ちなみに、彼はその時点ではナニも感じず「え〜どこ〜?どこにナニが見えるんだよ〜」などと間抜けな声を出しつつ、道路脇に捨てられたエロ本の端切れをわざわざ道路の上に広げたりしていた。 もう少し近寄るとおぼろげに白いカンバンが見えてくる。(しつこい様だがこの時点ではまだふつ〜の人には目に入らないだろう)もう少し歩くとその白いカンバンには民家の壁に打ち付けてあり、「ペット」とでっかく手書きで書いてあるコトが判明、ワタシは落胆すると共に妙な確信も抱く。 確かにカンバンには『神秘珍珍ニコニコ園』という記述は無い。しかし、そのカンバンの「あの感じ」は、ナニかある。モチロン、"タマシイの点数ランプ"は振り切り寸前だ。 やっと近眼の彼にも道の右側にあるカンバンの「ペット」という文字が読める所まで来て、ワタシはカンバンの掛かっている民家を覗き込んでみた・・・すると・・・その古い民家には紛れもなく『神秘珍珍ニコニコ園』という記述が・・・! 声にならない悲鳴を上げながらふと左側を見ると、道をはさんだ左手に奇妙なオブジェが乱雑に配置されたスペースが・・・!! スペースは駐車場兼『神秘珍珍ニコニコ園外園』らしかった。 2人はお互いナニかを感じながらでも無言で民家を除き込んだり"外園"を見学したりした。"外園"は不気味な自作オブジェとそれよりも、もっとしゅ〜るな詩(?)で構成されており、なんか、もぉ、それだけで十分って感じがしたのだが、彼が「せっかく来たんだし、ちゃんと見よう!」と言い出して私達は『神秘珍珍ニコニコ園』に潜入を開始した・・・。 しかし、受付には誰もいない。あの奇妙な「感じ」を除けばホントにフツ〜の田舎の民家の庭先だ。またもや例の手書きで「秘宝館→400米」「ペット霊園←350米」等と書かれたカンバンがあるが、何処をどう見てもそんな遠くまで通路は続いている様には見えないし、だいたいもうこの時点で明らかにナニかが始まっている雰囲気だ。それなのに建物(民家)からはTVの音が漏れていて、あの中にはふつ〜の日曜の昼下がりがあるんだなぁというコトを彷彿とさせる。またそのアンバランスさがしごくカオス気味。 ワタシはおそるおそる周囲の手作りの展示品を見て廻った。多分、恐らく10中8、9もう料金が発生する域なのだろーが、構わずそろり、そろりと見学した。お金を払わないとたたられそーな、かと言ってお金を払おうと誰かを呼んだらとんでもないコトがおきそーな、ともかくどっちにせよ呪われそーな予感の中、ちょっと様子を見てみようと思ったのだ。 しばらく(と言っても時間的には5分位だと思う)その記述しがたい異空間を体験した後、彼に「ね、もぉ帰ろ」と言うと、彼も二つ返事で帰ろうと言い、2人同時にダッシュ。 門をくぐって2人で走りながら「コワイよぉ〜」とワタシが叫ぶといつも冷静で理論的な彼がはっとして(そうか、この"カンジ"はことばに直すと"怖い"になるのかっ)と気付いた様子で彼も又「怖え〜!!」と叫び出した。 黄泉の国から走って逃げてるイザナギの様に、2人は近くの公園まで走って逃げた。 ところで、ワタシの彼は夜がちっとも怖くないし、オバケや幽霊も信じなていない。死んだ後はそれで終わりで只無くなるだけだと豪語している。又汚いモノも平気で、帰宅後はおろかトイレの後、掃除の後なども手を洗わない。お風呂の排水口の汚れを取った後でさえ指を濡らす程度なのだ。 その彼が、公園に着くなり「さっぱりしたい」とざばざばと手を洗い出した。普段、余程のコトがあっても手を洗わない彼がきちんと手首の方までぬらして手を洗っている様をみながらワタシは「ん〜コイツも何のかんの言って日本人やのう」と思って見ていた。 2人とも顔と手を洗ってベンチに座った。が彼はなかなか体温が戻らないと言い、ワタシはまだナニか後頭部とか背中に憑いているよーな気がしてしょうがなかった。おまけに、あんな空間をダウジングしてしまった自分自身が恐ろしくて二重にコワかった。 「もう、行こう」と又延々30分強の道のり(多分、初めての人は小1時間かかると思うのでやっぱりタクシーがモアベターかも。)を歩き出す。 もうすっかり夕方になってしまって坂道を上ると駅には明かりが点っていた。その明かりが目に入った時、ワタシは涙が出そうに嬉しかった。 かつて印度を旅行した時、バラナシからマドラスを列車で移動したのだがその時は列車が遅れたのもあって55時間列車に乗りっぱなしで内30時間は飲まず食わず、途中脱水症状で発熱・・・というコト(については『フルーツバスケット(座席を巡るあれやこれや)』 や『まず目で、そして手で喰べる。』 にあります。)があったのだ。 列車に乗りながら、この茶色い列車はもう、永久に何処の駅にも着かないのでは・・・と思ったその時、遠くにマドラスの街の明かりが見えて、涙が止まらない・・・という体験をした。 その時と同じ位、高坂の駅の明かりが見えた時は嬉しく涙した。それは紛れもなく「た・・・助かった・・・」という生命の危機を脱した時の安堵の涙であった。 そして、ともかくこの体験をした人とこの今のキモチを分かち合いたいと言うキモチで一杯になっていた。 相変わらず駅前には『老若男女いこいの場 神秘珍珍ニコニコ園→徒歩18分』というカンバンが出ている。 しかし憩いでも無ければニコニコでも無く、ましてや徒歩18分などと言うコトはあり得ない。 ・・・シャレになんないコワさ。(だってマジだもん。多分アレ。) ---- その日の夜遅くなってから、ワタシは怖い中にももう一度例の所へ行ってみたいという感情が芽生え出しているコトに気付いた。なにしろ、多分ほんのサワリで怖がって逃げ出して来てしまったワケだし。 今度は、きちんと受け入れ、見届け、ついでにお金も払おうかと思う。 (おしまい) --------------緊急連絡!!--------------- 「神秘珍珍ニコニコ園」の例の駅前の看板の写真を公開。 見たい方はどうぞこちらから。 ------------------------------------------- ※手を洗った公園で地元の小学生に『神秘珍珍ニコニコ園』についてインタビューすると「ナイナイが来たんだよ!」という貴重な情報をGETした。とすると、結構有名なスポットなのか・・・?! ※その後『神秘珍珍ニコニコ園』についてレポートされたHPを見たのだがやっぱり「訪れた後にこの園について他人がどう思っているのかがとても気になり始めると思う」と書いてある。ワタシ的には他人がどう思うかというよりも文中にもある通り、「まず、(怖いから)分かち合いたい」という気持ちと「今度は逃げずに受け止めたい」という気持ちから、再度の挑戦を考えている。もし宜しかったらどなたかご一緒に如何ですか・・・? ※ちなみに、もし今後『神秘珍珍ニコニコ園』を訪れる予定のある方は、なるべく事前に何の予備知識もなく、まっさらな気持ちで望んだ方がいいと思う。そして見終わった後にイロイロ調べてみた方が良いと思う。っていうかその時にはワタシにもわかちあって下さい。 --------------緊急速報連絡!!--------------- 2000年、2月20日、メールマガジンの方に参加を呼びかけて「神秘珍珍ニコニコ園」リベンジ・ツアー』を決行!! その時のもようは『「神秘珍珍ニコニコ園」リベンジ・ツアー、その全貌 』をごらん下さいませ。 ------------------------------------------- ----- 注釈*イザナギは死んでしまった妻、イザナミを追って黄泉の国に行く。ところがもう腐乱していたイザナミを見て一目散に逃げ帰ってしまう。イザナミはイザナギを追って走ってついていこうとする・・・ この世に戻ったイザナギは海でカラダや衣服を清めて黄泉のケガレを落とす。これが禊ぎの始まりで、塩がお清めになったルーツと言われている。(もどる) |