*『死ぬかと思った』*
(メールマガジンでお届けに上がる商品のほんの一例です。)
 「死ぬかと思った」体験を自慢するHPがあります。
色々な人の色々な 「死ぬかと思った」体験が掲載されているのです。
投稿の際には文末を 「死ぬかと思った」で終わらせなければなりません。
最初はそんなつもり は無かったのですが、ひょんな事からワタシも投稿する事になりました。 (掲載されたかは「?」ですが)

今日はその「死ぬかと思った」体験です。
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 あれは、何年前でしょう。

私は友達と温泉に行くべくJR○○駅にいました。特急に乗るため、 長い長い階段を下り始めた所、「つーん」とマンガみたいに つま先が階段にひっかかって前のめりに私は落ちて行きました。

カッコつけて持っていたアンティークのトランクは途中で空き、 1泊2日分の荷物をばらまきながらゆっくりと私は落ちてゆき ました。(もちろん、実際にはゆっくりとではなくものスゴイ イキオイで転げ落ちたのです。)

落ちながらワタシは「死ぬのかな〜」と考えていました、が、 目の前に踊り場が!やた!助かった!そう思ったのですが、 あまりのイキオイで、駅の階段にしてはだいぶ広めの踊り場なのに も関わらず、ワタシはそこでは止まりませんでした。なんと。

尚も落ちて結局止まったのは最後から三段目の所でした。まだ うら若かったワタシは、何よりも階段から落ちたことが恥ずかし かったので、すぐさまさっそうと立ち上がろうとしましたが、 カラダがピクリとも動きません。

ワタシの周りにはまるい一定の空間をはさんで人が取り囲んで いました。まさに「その瞬間、天無く地なく・・・」といった 泉鏡花の世界です。空気が凍っていました。

やがてワタシが「うっ・・・」とうめいた瞬間、時間が流れ出し、 ある人は「大丈夫ですか?」と駆け寄ってくれ、ある人はばらまか れたパンツやハブラシを持って来てくれました。

体中痛いけれど、幸い、どこも折れて無いみたいでした。でも、
死ぬかと思った。

みると、乗るはずだった特急は既にホームに来ていて、 列車の中の人は皆ワタシに注目しています。 もう、乗らないと今にも発車しそうです。好奇の視線の中、 その列車に乗らなければならなくて、痛さよりも恥ずかしさで
死ぬかと思った。

ちなみにその温泉旅行には意中の彼も来ていて、勇気を出して 告りましたが、フラれました。 もう、さびれた温泉旅館で
死のうかと思った。

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