『北坂戸』という駅がある。「きたさかど〜きたさかど〜」というアナウンスはいつも一瞬「北酒場」に聞こえてぎょっとする。 ----- 妹が会社の面接に行く途中で事故に巻き込まれた。仕事は勿論パァで首が痛くて寝ている。カワイソウだ。
父の会社はそのうち内部告発してやりたいくらい労働条件が悪い。(某有名化粧品メーカーである。)『ああ、野麦峠』みたい。食事もさせてもらえないまま昼の1時から次の日の明け方の4時過ぎまで働かされている。なのに嘱託賃金。
又、隠蔽工作もすごいらしく保健所のガサ入れ(定期調査)の前になると、わざわざ業者を呼んで、まだ認可されてないレーン(ベルトコンベアー)部分などは、全てベニヤ板を打ち付けて隠してしまったりするので、社内の人は密かに"サティアン"と呼んでいるそうだ。
そんな父も、先日退職届を出した。 妹も父も、これを機にしばらくのんびりした方がいいのだ。
でもわーかほりっくで躁鬱病の父は、例によってじっとしてられない。スグにでも就職活動するという。失業保険が下りるまで3ヶ月かかるそうなのだが、その前に是が非でも再就職したい、と言うのである。
しかしこの不景気の中、60近い親父に早々にシゴトが見つかるとは到底思えない。でも今の親父にはそんなコト考えも及ばない様だ。
“シゴト”というモノが無い限り、父は一日中そわそわして私達に当たり散らすだろう。
コレは父に(失業して家に居る限り)是が非でものんびりしてもらわねば。
鼻息荒くはやる父に、ワタシと妹は
「失業保険も出るんだし、も、ちょっとゆっくりしたら〜」
と奨めてみた。すると父も
「ああ、前退職した同じ職場の人も"3ヶ月くらいすぐ経ってしまっていいリフレッシュになった"って言ってたな〜」
などと言い出す。ヨシ、食らいついた!ココまでくればもう一押し。
「ね、会社では酷い怪我もしたんだし、腰も悪いんだし、少しゆっくりしなよ。」
「うん、そうだな〜・・・よし!俺も妹子(仮名・妹のコト)も失業保険だ!毎日毎日ウチにいればいいや!」
(よっしゃ!)←姉妹ココロの声。
「・・・それで、俺は庭、妹子は庭のプレハブを徹底的に掃除して改装だ!毎日掃除してればいいや!なっ?!」
・・・ダメだこりゃ。(第一妹は怪我してるんだっつーの)
「オヤジは鮫だ、鮫なんだよ・・・動いてないと死んじゃうんだ。」
こっそり妹に言うと妹は首輪に首を固定されたまま苦しそうに、でも大爆笑していた。
|