* 猫 が 死 ん だ ら ・ ・ ・ *
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 猫が死んだら“三ツ辻に埋める”そうです。

ワタシが住んでるトコロはそういう風習があるみたいです。

何故、三ツ辻に埋めるのかというと、

辻、つまり十字路に埋めると四方が見渡せるので、

化けて出た時、家に帰って来てしまう。

ところが、三ツ辻、三叉路だと四方が見渡せないので、

化けて出た時、道に迷って家に帰れない、

というのです。


 ところで、ワタシの家は代々機屋(はやた)というのをやっていました。

機屋の仕事を一口で言うのは少しむつかしいのですが、

まぁ、常に家の中に糸や反物が沢山ある、と思って下さい。

その為、鼠よけに家には必ず猫がいましたし、います。


ある時、ワタシの猫が死にました。

この猫は、ワタシがもらって来て、ワタシが面倒を見て、

ワタシと一緒に寝て、ワタシと一緒に生活した猫でした。

その猫を埋める時、初めて母から三ツ辻の話を聞きました。

それまでにも、家の猫は死んでいましたが、

まだワタシはとても小さかったので

猫の埋葬に付き合う、と言うことはそれまで無かったのです。


「クロだったら、化けて出てもいいよ。化けて帰って来てよ。」

そう思いましたがことばに組み立てられませんでした。


結局、クロ、というその猫は近所の三ツ辻に埋められました。


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